皆さん、こんにちは☺️

今回のこころコラムでは、前回ご紹介した思春期の心身の変化を踏まえ、身近にいる大人の関わり方や見守り方についてお話しようと思います。
口出しは煙たがられる、かといって放っておくと不安がる…。
思春期のお子さんを育てる保護者の方は、適切な距離感ってどうしたら良いの…?と思い悩まれることもあるかと思います。
まずは適切な関わり方を理解するために不可欠な、思春期の子どもの体の変化と心の変化のメカニズムを簡単に復習しましょう。

思春期の心の揺らぎ
思春期には「第2次性徴」と呼ばれる体の変化が起き、急激な成長、変化に戸惑う子どももたくさんいます。
また、それまで両親に依存していた状態から自立しようとする時期でもあり、「自分は何者か」というアイデンティティを確立しようとします。
自立したい気持ちと、まだ甘えたい気持ちとで揺れ動いたり、アイデンティティを模索するなかでさまざまな葛藤も経験します。

「信頼」をベースにした距離感
子ども自身が「親に信頼されている」と感じることが、不安定な時期の心を支えます。
子どものプライバシーを尊重し、過干渉にならないように境界線を意識してみましょう。
例えば、スマホの使用時間が気になる時、一方的に注意するのではなく、「どうしたい?」「どうするのが良いと思う?」と子どもに問いかけてみます。
こちらの正解を押し付けるのではなく、決定権を本人に委ねると良いでしょう。
こうすることで、子ども自身が「親からの信頼感」を感じられるだけでなく、自己肯定感が育ち、自分で考える力も身につきます。

子どもにとっての安全基地でいること
「自分とは?」を追究するなかで、「期待どおりにすれば親が喜ぶ」、「親に心配や迷惑をかけたくない」、そのような思いから家族や社会の規範に沿うような適切な行動ばかり取ろうとする子どももいます。
期待に沿えている間は、評価されるばかりでそのストレスが表面化しにくく、否定的な感情が表に出せずに身体症状を引き起こすこともあります。
「失敗をしても大切なあなたには変わらない」という思いが子どもに届くことが大切なので、親子で会話できる時にそういったメッセージを伝えられれば良いですね。
子どもにとって、いつでも味方でいてくれる「安全基地」があることは心の安定にとても大切です。

「完璧な母親」でなく「ほどよい母親」で
イギリスの小児科医のウィニコットは、完璧な母親による完璧な育児ではなく、ほどよく失敗も経験するような「ほどよい母親」が育児において大切であると述べています。
さまざまな情報が飛び交う今の時代、子育てのヒントはたくさんあるけど、目の前の子どもに向き合ってみると上手くいかないことも多い。
そういったことも多々あるでしょう。
完璧な育児や、完璧な母親を目指そうとすると、お母さんの心も疲れてしまいます。
子どもにとっては、お母さんが元気で、いつでも戻れる場所がある、とそう感じられることが安心に繋がります。
そのためにも、完璧を目指そうとせず、少し力を抜いた「ほどよい母親」で、子育てをしていくことが大切なのかもしれません。

今回は、思春期の子どもに対しての関わり方や見守り方についてお話ししました。
成長の裏で不安や葛藤もたくさん経験する時期です。
お子さんがご家庭での安心感を支えに不安定な時期を乗り越えられるよう、試行錯誤しながら進んでいきましょう☺️
今回のコラムが皆さんの参考になれば幸いです😌
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参考文献
深尾憲二朗 2018 「思春期ー少年・少女の不思議のこころー」 ミネルヴァ書房
「4. 思春期危機への対応~SOSサインに気づいたら」https://www.pref.nagano.lg.jp/seishin/tosho/documents/youth_2013-sec_4.pdf (参照 2025.12.20)
「若者のこころ~思春期・青年期とは 思春期危機~SOSサイン」 https://www.pref.nagano.lg.jp/seishin/tosho/documents/youth_2013-sec_1.pdf(参照 2025.12.20)