皆さん、こんにちは☺️
前回のコラムでは、強迫症について取り上げ、その症状と原因についてご紹介しました。
今回は、前回に引き続き「強迫症」の第2回目として、治療・受診についてとお話していこうと思います。

曝露反応妨害法
強迫症の治療は、認知行動療法と薬物療法を組み合わせて行われるのが一般的です。
認知行動療法の1つで、強迫症の代表的な治療法として使われるものが、曝露(ばくろ)反応妨害法という治療法です。
これは、例えば、汚いと思うものを触っても手を洗わないで我慢する、留守宅が心配でも鍵をかけたかどうかを確認するために戻らないで我慢するなど、強迫的な思考(強迫観念)が生まれてもそれに立ち向かい、手を洗う、確認する、といった強迫行為をしないで我慢するという方法です。

強迫行為の特徴
手洗いなどの強迫行為が辞められない理由は、患者さんに「安心し納得して終わりたい」という思いがあるからと言われています。
しかし、繰り返せば繰り返すほど、手洗いや確認行為はどんどん細かさや正しさ、完璧さを求めてしまい、止められなくなってしまいます
強迫行為の最中に、何か物音がするだけでも、完璧に安心して終えることを邪魔されたと感じて、一連の行為を最初からやり直すこともあるようです。
行為を行えば行うほどこの傾向が強くなり、家族に対しての要求やルールもやればやるほど厳しくなり、家族もしんどさを感じてしまいます。
こういった特徴があるため、曝露反応妨害法によって「不安と向き合う」「我慢する」ことを実行していくことが大切になります。

治療を支える薬物療法
しかし、手を洗わずにはいられない人に手を洗うのを我慢しなさいという曝露反応妨害法は、不安に直面し、安心のために繰り返してきた行為を止めようとするわけですので、患者さんのストレスにならないかと気になる方もいるかもしれません。
そこで、薬で強迫行為の度合いを少しでも抑えて、患者さん自身の抵抗力を回復させることで、曝露反応妨害法に備えるのです。
強迫症では、主にSSRIという抗うつ薬が用いられますが、症状に応じて服用量や別の治療薬が検討されるので、受診先の医師と相談してください。

受診先
では、強迫症の症状が見られたり、症状に困っている場合、どこに相談し受診すれば良いかをご紹介します。
まずは、地域の精神科クリニックで相談してみることをおすすめします。
精神科以外でも、心療内科などで、強迫症を診てくれる場合もあります。
公認心理師や臨床心理士によるカウンセリングや、曝露反応妨害法の実施、薬物療法などについて、まずは、ホームページで事前に確認をしたり、電話で問合せをしたりすると、安心して受診に備えることができるでしょう。

治療効果とモチベーション
最後に、治療にとって大切となるモチベーションについてです。
治療効果には個人差があり、モチベーションや環境が影響すると言われています。
「強迫症を治す」ということは、例えば、汚染/洗浄タイプの強迫症の方の場合、症状に困ったりストレスを感じている一方で、安心が得られるまで手を洗うことが出来ないことになるため、治すことに不安を感じ、モチベーションをもてない人もいます
周りに聞いてくれる家族がいて、生活を支えてもらえる方であれば、今の状態や環境でよしとする場合もあるでしょう。
しかし、治療に効果的であり、大切なことは、治す「目的」があることです。
例えば、「強迫症を治して仕事に復帰したい」「家族を巻き込むのを止めたい」「強迫行為に費やすエネルギーを別のことに充てたい」など、治す目的があれば治りやすいと考えられているので、治療に向き合っていく際は、治す「目的」を考える時間をとってみてくださいね。

2回にわたって強迫症についてご紹介してきました。
ご自身やご家族の皆さんに何か変化があったり、受診や治療について考える際に参考になれば幸いです😌

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参考文献
中村敬 2022 「心のお医者さんに聞いてみよう 森田療法で治す『不安症・強迫症』」 大和出版
「強迫性障害とは-QOL(生活の質)に影響する重大疾病|メディカルノート」https://medicalnote.jp/diseases/%E5%BC%B7%E8%BF%AB%E6%80%A7%E9%9A%9C%E5%AE%B3/contents/151105-000082-HRDCEJ(参照 2025.9.30)
「強迫症とは?どんな病気か?-OCDサポート」
https://ocdsup.net/ocd/11symptom/(参照 2025.9.30)
「強迫性障害とは|済生会」https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/obsessive_compulsive_disorder/(参照 2025.9.30)