皆さん、こんにちは☺️

今回のこころコラムは、私たちの「考え方のくせ」に着目します。
皆さんは、ご自身の物事の考え方や受取り方について、考えたことはありますか?
「こういう考え方をよくするなぁ」とか、「こんな考え方ばかりしてしまって気持ちがしんどい…」など、思い当たることはありますか?

心の健康を保つ上で非常に大切な要因の1つですので、心理療法においても、「考え方」はとても重要視されます。
まずは今回「考え方のくせ」についてご紹介し、次回「考え方のくせへの対処法」についてお話したいと思います。

10個の「考え方のくせ」
では、まず私たちの「考え方のくせ」にはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
さまざまな研究者が「考え方のくせ」について説明していますが、今回は10個に分類したものをご紹介します。
当てはまるものがあるか考えながら、読み進めてみてください。

結論の飛躍
根拠もないのに悲観的な結論を出す。
「きっと○○○に違いない」とネガティブな結論を導き出す。
(例)実際は聞こえなかったかもしれないのに、挨拶が返ってこなかったことで「無視された、嫌われてるに違いない」と決めつける。

過度な一般化
1つの失敗や嫌な出来事だけを取り上げて、この先もずっと同様なことが起きると考えてしまう。
(例)同僚と意見が少し違ったことで「あの部署の人は皆、非協力的だ」と決めつける。

全か無か思考
完全な成功でないと満足できなかったり、あいまいな状態に耐えられず、物事すべて白か黒かと極端な考え方で割り切ろうとする。
(例)仕事で少しでもミスをしたら「すべて台無し」「無能」と考えてしまう。

選択的注目
良い面には目を向けず、悪い面だけを重視したり、1つの嫌な出来事にこだわりすべての現実を暗く考える。
(例)日常の中で良いことも悪いこともあったのに、些細な悪いことだけを記憶し、「今日も悪いことばかりだった」と考える。

拡大解釈と過小評価
自分の欠点や失敗を過大にとらえる一方で、自分の長所や成功を「取るに足らないこと」と思い、うまくいったことを小さくとらえる。
(例)料理が少し焦げただけで「私は本当に料理が下手だ」と自責したり、 家族が「美味しい」と言っても「気を遣ってくれているだけ」と受け流す。

過剰な責任取り
問題が起きた場合、さまざまな理由があるにも関わらず「自分のせいでこうなってしまった」と自分を責めてしまう。
(例)友人との食事の約束が、急な友人の体調不良でキャンセルになった時、「自分が提案した店が良くなかったのかもしれない」「自分の誘い方が悪かったからキャンセルになったのではないか」などと、友人の体調とは無関係な理由で自分を責める。

「べき」思考
何かするときに「○○○するべきだ」と必要以上に自分にプレッシャーをかけてしまう。
または「あのときに○○○するべきではなかった」と過去のことをあれこれ思い出し悔やむ。
(例)私は母親なのだから、これくらいは当たり前にこなさないといけない、と考える。

情緒的な理由づけ
その時の自分の感情、気分の落ち込みに基づいて、現実を判断してしまう。
(例)こんなに不安なんだから、きっと本番も失敗する、と考える。

レッテル貼り
失敗や特徴など、相手や自分の一部分を取り上げて、その全体を「○○○な人だ」「○○○な人間だ」と決めつける。
(例)何かに挑戦してうまくいかなかった時、「私には無理だ、やっぱりダメ人間だ」 と考える。

自分で実現させてしまう予言(マイナス思考)
自分で否定的な予測を立てて自分の行動を制限し、その結果、予測通り失敗してしまう。
(例)「今日は最悪な1日になるだろう」という予測をし、朝から気分が落ち込み、些細なミスをしたり、不機嫌な態度が周囲に伝わるなどして、本当に最悪な1日になってしまう。

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いかがでしたか?
当てはまると感じたものはありましたか?

考え方のくせは、「自動思考」といって、自動的に浮かんでくる考えのなかに見られるものです。
普段から意識していないと、その「くせ」になかなか気づけないものですよね。
そして、その「考え方のくせ」が、知らず知らずのうちに気持ちをしんどくしたり、行動を制限することに繋がっている場合、見直して、別の考えに少し修正することが望まれます。

その前に大切になることが、まず「気づく」ことです。
まずは普段のご自身の考え方に目を向けて、どのような「くせ」があるのか、先ほどご紹介したリストを見ながら、チェックしてみてくださいね。
次回は、今回の内容を踏まえて、ご自身の「考え方のくせ」にどのように対処していくかについて、ご紹介したいと思います☺️

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参考文献
伊藤絵美 2011「ケアする人も楽になる 認知行動療法入門 BOOK1」 医学書院