皆さん、こんにちは😊

「ご飯だからゲーム終わりね」「(公園などから)お家へ帰るよ」 そう声をかけたとき、すんなり動けずイヤイヤが始まったり、泣いて怒ったり…。
「どうしてこんなに切り替えが苦手なんだろう」と、ヘトヘトになってしまう親御さんは少なくないはずです。

実は、この「切り替える」という行動、子どもにとっては脳の高度なチームプレーが必要な、とても難しいことなのです。

今回は、心理学や脳科学の観点から、切り替える力の正体である「実行機能」と、それを家庭で無理なく育てるコツをお話しします。

そもそも「切り替える力」の正体ってなに?
心理学や発達支援の現場では、切り替える力のベースにある脳の働きを「実行機能」と呼びます。

実行機能とは、一言でいうと「目標に向かって、自分の行動や気持ちをコントロールする力」です。
これは、主に脳の「前頭前野(ぜんとうぜんや)」という部分が担っています。

切り替えの瞬間、子どもの脳内では以下のような高度な処理が同時に行われています。

  • 抑制(ブレーキ) 今やっている楽しいことを「止める」

  • シフト(ハンドル) 意識を次の行動へ「移す」

  • ワーキングメモリ(記憶) 「次に何をすべきか」を頭に留めておく

子どもが切り替えられないのは、それぞれのお子さんの特性や心の動きも考える必要がありますが、「実行機能が、まだ未熟で工事中の状態」だと考えられます。
前頭前野は、大人になるまでゆっくり時間をかけて成熟していきます。

家庭でできる「切り替える力」を育む3つのアプローチ
実行機能は、日々の関わりの中で少しずつ鍛えていくことができます。
怒るのではなく、脳の仕組みをサポートするイメージで試してみてくださいね。

1. 見通しを伝えて「心の準備」を助ける
子どもは「今」を全力で生きています。
突然「終わり!」と言われると、脳のブレーキが間に合いません。
ポイント 「あと10分で終わりね」「時計の長い針が『6』になったら靴を履こうね」など、数字や視覚的な終わりを事前に伝えます。
おすすめツール:タイムタイマーという、設定した時間の分だけ赤色のついた部分が現れ、時間が経つにつれてその赤色がスーッと消えていく仕組みのタイマーを使うのもおすすめです。
時間の経過を「見える化」してあげると、脳のワーキングメモリへの負担が減り、「そろそろ終わりだな」と子ども自身で心の準備(ブレーキを踏む準備)をしやすくなります。
子どもは「あと5分」という言葉での説明(聴覚情報)よりも、目で見てパッと分かること(視覚情報)の方が理解しやすいので、タイムタイマーのようなツールで視覚をサポートしてあげると、実行機能にかかる負担がグッと軽くなります。

2. 次の行動の「お楽しみ」を用意する
楽しいことから、片付けやお風呂など、つまらないことへの切り替えは大人でも気が重いものです。
ポイント 「YouTubeおしまい!」と強制終了するのではなく、「動画が終わったら、どっちのアイスを食べるか冷凍庫に見に行こう!」「このミニカーたち、どっちの箱が早くお家(片付け箱)に帰れるか競争ね!」など、次の行動の中に「小さな楽しみ」を用意してあげたり、次の行動自体をゲームや遊びにしてしまいます
わくわくする「乗り換え先」を提示されることで、子どもは次の行動へ移りやすくなります。

3. スモールステップで「できた!」を増やす
切り替えられたときは、結果だけでなく「切り替えようとした姿勢」をすかさずキャッチして褒めてあげましょう。
ポイント 「まだ遊びたかったのに、お片付けの準備ができたね」「切り替えられてかっこいい!」と、言葉にしてフィードバックします。
この「できた!」の成功体験が、脳の実行機能をぐんぐん育てます。

まとめ:親御さんの「心の切り替え」も大切に
子どもの実行機能の育ち方には、当然個人差があります。
同じ年齢でも、すんなり切り替えられる子もいれば、一つのことにものすごく集中するタイプで、切り替えに人一倍エネルギーが必要な子もいます。
「早くさせなきゃ」と焦る気持ちが湧いてきたら、まずは大人が一呼吸です。
「あ、この子の実行機能が今頑張って成長しているところなんだな」と、一歩引いて見守ってみてくださいね。

毎日100点満点の切り替えを目指す必要はありません。
スモールステップで、親子で「できたね」を増やしていってください。

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参考文献
鴨下賢一(編)、小玉武志(著) 「家庭で育てる発達が気になる子の実行機能」2020 中央法規出版