こんにちは^^

今回のこころコラムは、最近よく見聞することの多い「自閉スペクトラム症(または自閉症スペクトラム障害)」についてご紹介したいと思います。

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●「自閉」という概念

自閉」という言葉は、もともとドイツ語の”Autismus”の訳語であり、英語では”autism”となります。
”autism”の訳語として「自閉」という日本語が充てられた経緯については、とても専門的な話になってしまうのでここでは割愛しますが、”Autismus”がギリシャ語の”autos-(自己)”と”-ismos(状態)”を組み合わせて作られていることに由来するようです。
1937年に日本精神神経学会が”Aurismus”の訳語として「内閉性、自閉性」と記しており、これが「自閉」の初出であろうとされています。

●「自閉症」についての捉え方

自閉症」という言葉をはじめに用いたのは、1943年のアメリカの児童精神科であるレオ・カナーという人物でした。
その後、研究が進められていく中で、自閉症を捉える枠組みは変化していきます。
自閉症の原因が、神経発達の障害であることが分かったり、軽度の自閉症の傾向が見られる特定の子どもたちについて報告されることにより、自閉症の特徴を”連続体”として捉える「自閉症スペクトラム」という捉え方が1990年代から広まっていきます。
これは、イギリスの精神科医ローナ・ウィングという人物による考え方で、自閉症には境目が無く、知能の高さや低さ、自閉症の特徴の症状は虹のようにグラデーションになっており、連続している集合体として捉える考えに立っています。
「自閉スペクトラム症」は、英語では”Autism Spectrum Disorder”(ASD)と呼ばれます。

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●自閉スペクトラム症の症状

自閉スペクトラム症は、次の2つを特徴とする障害です。
社会的コミュニケーションおよび対人的相互作用の障害
:他者の気持ちや考えを推測することが難しい、仲間関係への関心が乏しい、状況や相手に応じた行動が難しい、言語発達の遅れ(言葉を話せないというよりは、話すことの必要性を感じていない)、ごっこ遊びをしないなど。

行動、興味や活動の限定された反復的な様式
:順番や物の位置への極度のこだわり、特定の領域への極度の興味と知識、感覚の過敏さと鈍感さ(音などへの過敏さ、痛みなどへの鈍感さ)など。

●自閉スペクトラム症の原因

これらの子どもは、中枢神経系(脳と脊髄)の障害による発達の遅れや偏りがあると考えられています。
したがって、本人の努力不足や親のしつけが原因ではないということです。
子どもが抱えている問題が何であるのかを、医師の診察や発達検査などによって的確に見極め、専門的に対応していくことが必要になります。

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●自閉スペクトラム症の治療と受容

自閉スペクトラム症の治療の基本は「療育」(治療教育)と生活環境の調整と言われています。
一人ひとりの子どもの状態や特性に合わせた療育のプログラムは、本人の力を引き出してできることを少しずつ増やし、生活上の困難を減らす助けになります
学校では、通常の学級での「合理的配慮」のほか、特別支援学級」「通級指導教室」「特別支援学校などがあります。
個々の生徒の学習ペースに合わせて教科学習の進め方を調整したり、自閉スペクトラム症特有の対人関係やコミュニケーションの特性に応じてソーシャルスキルを身につけるための授業を少人数で行ったり、専門性の高い配慮が可能です。
また、薬物療法の導入については、てんかん発作があったり、睡眠障害、不注意、多動性、衝動性、自傷行為、興奮、攻撃性などによって生活に支障を来している場合に検討されます。

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障害があって生きづらいとき、治療や訓練によって本人の力を伸ばすことで、何とか生きやすい状態を作り出したいと思うのは自然なことですが、一方で、そうそう簡単に力を伸ばして障害を克服・軽減できるものではないという意見もあります。
発達途上の子どもの場合はとりわけ、発達して障害を克服する、端的に「なおす」という方向に期待をもつことが多いのですが、一方でそのことが親子を苦しめ、その関係を歪めることも起こってきます。
そこで、子どもの生きづらさをしっかり見たうえで、まずはその「ありのまま」を受け入れる、その受容が基本になることを保護者の方も周囲の私たちも心がけておかなければなりません。

「自閉スペクトラム症」と一括りにされていても、子どもによってその様相は大きく違います
目の前の子どもは、どんなことに困っていて、苦手なのか、逆にどんなことが得意なのか、またどのように成長すればその子にとってより生きやすいのか、その方法として考えられることなど、信頼できる支援者と一緒に、お子さんに合った治療プランを考えていきましょう。

今回のこころコラムは以上になります!
また次回もお楽しみにしていてくださいね☆

参考文献
麻生武・浜田寿美男(編) 2012 「よくわかる臨床発達心理学」ミネルヴァ出版
本田秀夫 「『自閉』という言葉の由来と概念の変遷」 No.5 2018 信州医誌Vol.66
渡辺弥生(監)藤枝静暁・藤原健志(著・編)2021 「対人援助職のための発達心理学」 北樹出版
すまいるナビゲーター 子どもの自閉スペクトラム症 「様々な支援/自閉スペクトラム症」https://www.smilenavigator.jp/asd/support/ (参照 2021.11.3)
すまいるナビゲーター 子どもの自閉スペクトラム症 「薬物治療が必要とされる場合と使用される薬/自閉スペクトラム症」https://www.smilenavigator.jp/asd/abc/05.html (参照 2021.11.3)