皆さん、こんにちは☺️
お子さんが初対面の人に会った時、公園で知らない遊具を前にした時、こちらをチラチラ振り返って見てくることはありませんか?
実はあの視線は、心理学では「社会的参照(しゃかいてきさんしょう)」と呼び、赤ちゃんの心が順調に育っている大切なサインとされています。
今回は、この「社会的参照」という不思議な心のメカニズムと、日々の関わり方のヒントをお伝えします。
心理学の有名な実験「視覚的断崖」
大人の顔を見て判断する赤ちゃんの能力を証明した、心理学の有名な実験をご紹介します。
ハイハイができるようになった赤ちゃん(生後6か月~1歳前後)を、床がガラス張りで「崖」のように見える台に乗せます。
ガラスがあるので絶対に落ちないのですが、見た目は深い崖です。
反対側から母親が「おいで!」と呼びかけたとき、ハイハイができるようになった赤ちゃんはどうしたでしょうか?
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母親が「笑顔」で呼びかけた時: 赤ちゃんは崖を怖がりつつも、母親の笑顔を見て「安全なんだ」と信じ、ガラスの上をハイハイして渡ることができました。
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母親が「不安そうな顔・怖い顔」をした時: 赤ちゃんはその崖を渡ろうとしませんでした。
赤ちゃんは、自分が「これって大丈夫かな?」と迷った時、信頼する大人の表情をヒントにして、自分の行動を決めていることが分かります。
これが「社会的参照」です。
生後9ヶ月頃から盛んに見られるようになります。
親の表情は、子どもが世界を広げるための「道しるべ」
まだ言葉で「これは安全だよ」「触っちゃダメだよ」と理解できない赤ちゃんにとって、大好きな母親や父親の表情は、生き抜くための大事な「道しるべ(サイン)」です。
親の顔が「良いよ!」と言っていれば進むし、「危ない!」と言っていれば立ち止まる。
こうして、親の力を借りながら、安全に世界を探索していきます。
この「チラチラ見てくる行動」が見られたら、「お母さん(お父さん)のことを、心から信頼して頼りにしているよ」という子どもからのメッセージだと考えられます。
日常生活に活かす2つのヒント
この心のメカニズムを知っておくと、毎日の子育てで工夫できることがいくつかあります。
① 「初めての場所」では、まず大人が笑顔に
病院の診察室、初めて行く子育て広場、新しいおもちゃ。
子どもが緊張してフリーズしたり、こちらの顔を見てきたりしたら、まずはお母さんやお父さんが「ここは怖くないよ」「楽しそうだね」と、一歩先に、安心のサインである笑顔を見せてあげてくださいね。
親の笑顔という「安全基地」があるからこそ、子どもは安心して一歩を踏み出せます。
② ダメな時は「真剣な顔(または困った顔)」で
逆に、お友達を叩こうとしたり、危険な場所に登ろうとしたりしたときは、言葉だけでなく「表情」もセットで伝えることが重要です。
ニコニコしながら「ダメだよ」と言っても、子どもはアンテナの向きが分からず混乱してしまいます。
「それはダメ」という時は、真顔や困った顔で、「悲しい」の気持ちや「危ない」のメッセージを表現すると良いでしょう。
完璧でなくて大丈夫
「じゃあ、いつも笑顔でいなきゃいけないの?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。
人間誰しも、イライラすることだって、疲れて無表情になることだってありますよね。
大切なのは、子どもが「これ、どうかな?」とSOSの視線を送ってきたときに、なるべく気づいて、気づけた時は温かい表情を返してあげることです。
もちろん、毎回完璧に反応できなくても大丈夫です。
心理学には「ほどよい母親(good-enough mother)」という言葉があります。
完璧な親よりも、時に失敗しながらも、できる範囲で向き合ってくれる親のほうが、子どもはのびのび育つと言われています。
その「ほどよい」安心感の積み重ねこそが、子どもの「世界を探索する勇気」に変わっていきます。
お子さんがチラッとあなたを見てきたら、「世界を探索中なんだな」と心の中で応援を送りながら、微笑み返してあげてくださいね。
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参考文献
鹿取廣人・杉本敏夫・鳥居修晃・河内十郎(編)2020 「心理学 第5版補訂版」 東京大学出版会
子どもの上手なほめかた・しかりかた https://saiwaicl.jp/kenkoujyukuch/8sojn5.pdf (参照 2026.7.6)

