皆さんこんにちは😊
放課後等デイサービスあ~すり~と公認心理師の上野山です😊

今回のこころコラムでは、子どもの”うつ病”の問題をピックアップしたいと思います。

うつ病と聞くと、子どもがかかる病気のイメージではないかもしれません。
このような認識は、最近まで専門家の間でも見られていました。
しかし、子どもたちを対象にした研究によって、子どもにもうつ病がみられることが明らかになってきています。

今回はうつ病についての基礎知識と、もしうつ病の症状が出た場合の対応法について、ご紹介していきたいと思います🙂

抑うつ気分と抑うつ症状の違い
まず、子どものうつの問題は、前回ご紹介した不安症と同様に、”ありふれた日常的な側面”と、”支援の必要な側面”の両方を考えなければなりません。
抑うつ気分とは、悲しく、憂うつで、ふさぎ込んだ、落ち込んだ気分のことです。
何か悲しい出来事があれば、誰もが経験することになります。

それに対して、抑うつ症状とは、以下に示すようないくつかの特徴を持っています。
まず、抑うつ症状としての抑うつ気分には、悲しみ空虚感絶望などが含まれます。
子どもの場合はイライラしやすい怒りっぽいといった形であらわれることもあります。
次に、興味・喜びの減退として、以前は楽しかったことが楽しめないという状況があります。
この2つが抑うつ症状において最も特徴的なものになります。

抑うつ症状の特徴
それに加えて、以下の症状も見られることがあります。
体重・食欲の変化(食欲がなくなったり、逆に食べ過ぎてしまうこと)
睡眠の変化(眠れなかったり、逆に眠り過ぎてしまうこと)
精神運動性の焦燥または制止(行動に落ち着きがなくなったり、逆にすごく動きが遅くなったりすること)
易疲労性(疲れやすくなったり、気力が減ってしまうこと)
無価値観・罪責感(自分は価値がないと考えたり、罪の意識をもってしまうこと)
集中困難(集中できないこと)
自殺念慮や自殺企図(自殺についての考えをもったり、実際に自殺に関連する行動に踏み切ってしまうこと)

そして、抑うつ気分か興味・喜びの減退を含み、上記にあげた抑うつ症状が5つ以上みられる状態が2週間以上続き著しい苦痛や日常生活の支障が認められる場合に、うつ病として考えられることになります。

うつ病の表れ方
うつ病は、特に心身の問題であるということを理解しておくことが重要です。
つまり、心の苦しみだけでなく、体の症状としても表れるということです。
実際に、うつ病が疑われる子どもによく見られる抑うつ症状としては、疲れやすさ興味や喜びが少なくなること無価値観・罪責感といった症状であることが多いとの報告があります。
「落ち込んでいる」と表現するよりは、「しんどい」「だるい」「やる気がでない」と表現されることが多いかもしれません。
このように、一般的にイメージしやすい症状が見られなくても、うつ病と考えられる状態になることがあるという点には注意が必要です。

 

子どもの不安症とうつ病の関連
不安症とうつ病は関連の深い問題です。
この2つの症状が同時に起きる場合や、前後して両方の症状が見られることもあります。
一般的には、幼いときには不安症の問題が表れて、思春期以降にうつ病の問題になることの方が多いと指摘されています。
その時点でどのような問題があるかだけでなく、長期的な視点に立って、問題を調べていく必要があるかと思われます。

発達障害とうつ病の関連
うつ病は、「発達障害」の二次障害として起こることもあります。
発達障害については、過去のコラムで触れているので、よろしければ参考になさって下さいね🙂
  ・「発達障害」とは?「発達障害」とは? | あ〜すり〜と (earthle10.com)
  ・発達障害の種類 発達障害の種類 | あ〜すり〜と (earthle10.com)
  ・自閉スペクトラム症について 自閉スペクトラム症について | あ〜すり〜と (earthle10.com)
コミュニケーションや認知、運動、行動、学習、社会性などの能力がアンバランスになり、生活に支障を来している状態が発達障害ですが、かたより方の特性によって、「自閉スペクトラム症」「注意欠如・多動症(ADHD)」「限局性学習障害(SLD)」など、現れ方が異なります。
また、これらが重なって現れることも多くあります。

発達障害は、先天的な脳の機能の問題なので、幼児期から症状が現れます。
人とうまくコミュニケーションがとれなかったり、「落ちつきがない」「ミスが多い」などと叱られたりして、自己評価を低くして育つ傾向があると言われています😔
失敗体験が重なって落ち込み、うつ病を発症しやすくなる面もあるでしょう。
また、周囲や本人も障害に気づかないまま成人することもあり、社会に出てから問題に直面し、うつ病になり受診することで、発達障害が分かるケースもあります。

子どものうつ病に対する心理療法
一般的なうつ病治療の基本は、「十分な休養と服薬」(加えてカウンセリングなどの精神療法も有効)になりますが、子どもの場合では特に、服薬治療に対して慎重になる必要があります。
まずは、子どもにとって負荷やストレスとなっているもの(例えば、学校など)から離れて、しっかり休むことが大切です。
軽度の場合は、十分な休養をとることができれば回復する場合もあります。
発達障害がベースにあり、二次障害としてうつ病の状態になっている場合では、その子どもに合った環境を整えていくことにより、症状が改善されるケースも多いでしょう。
一方、中等度、重度の場合については、主治医と相談し、適切な治療を検討していくこととなります。

児童期の子どもへの治療については研究が重ねられているところですが、その効果に注目が集まっているのが認知行動療法です。
認知行動療法とは、認知(考え方)と行動に焦点を当てて、考え方の幅を広げたり、元気になる行動を増やしていくこと(行動活性化療法「気分」と「行動」の関係をみつける | あ〜すり〜と (earthle10.com))で、気分や身体反応の改善を図っていく心理療法になります。
考え方の幅を広げる方法については、また別のコラムで詳しくご紹介したいと思いますので、今回は割愛しますね🙂

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いかがでしたか??
今回は、子どものうつ病の特徴とその対応法について、見てきました。
子どもが急に元気がなくなったり、やる気が出ない…と言ったりしたら、不安になりますよね😥
まずは、適切な症状の見極め、正しい診断が大切になるので、「いつ頃からどのような症状があるのか」「その症状のせいで、学校や日常生活ではどのくらい困っているのか」などに注意して子どもを見守ってあげてください。
そして、なるべく早く医療機関を受診し、相談してみましょう。

適切な治療や支援を行う事ができれば、改善が可能な病気なので、過剰に心配はせず、お子さんを支える方法を考えていきましょう👦👧
今回のこころコラムは以上になります!
次回もお楽しみに😊✨

参考文献
岡島義・金井嘉宏 2020 「使う使える臨床心理学」 弘文堂
野村総一郎 2016 「うつ病のことが正しくわかる本」西東社